情報の非対称性

首都圏の病院をいくつか受験したけど、端的に言って、これは研修バブルだ。倍率と研修の良さにはもちろん正の相関はあるだろうけど、その係数は鼻くそみたいなものだと思う。どの研修病院もどんぐりの背比べのはずなのに、尋常とは思えないほど一部に人気が集中している。医学生の都会志向は半端じゃない。

主因は情報の非対称だ。長くて一週間程度の実習で、その病院で受けられる研修の何がわかるだろうか。研修医の声を聞けばいいって?それだって疑わしい。就職した病院で研修するのに忙殺されて、ほかの施設と比べる機会はほとんどないのが普通だ。2年間終わってなお、ここで研修したのは正解だったのかどうかと自問するのが関の山じゃないのか。むしろ、そういう批判的な視座がもてないなら、そんな研修医は妄信的猪突猛進タイプと断ずるべきだろう。

結局、医学生には研修のなんたるかが見えない。いきおい、「人気」研修病院に耳目が集まる。ブランド研修病院の幻想に盲目なまま「あの人気病院で研修すれば、自分の未来は明るく開ける」という妄想に耽り、第二の受験競争を繰り広げるのである。

さらに、見学や実習をしていないと受験すべきではないという空気も、一極集中の傾向に拍車をかけている。もちろん、医学生の都会志向もここに覆い被さる。すべてのベクトルが医学生を都市へ向かわせている。

こうして、医学生たちはなんとなく都会で生活したいだけなんだけどという下心をひた隠しにしつつ、もっともらしいーーでも白々しいーー志望動機を練りに練って面接に臨むのである。

一方で病院は、福利厚生を声高にうたい、美辞麗句を弄して、世間知らずな学生を抱き込み、実は、安価にたたき買っている。中間発表の高倍率を前にして「一位志望が減るから困るんだよねぇ」なんてへらへらしているのは罪深い。その分田舎に回すなんていう見識は、ないわけだ。

使い古された言い方だけれど、結局、どこで学ぶかではなくて、自分がどう学ぶかなんだと信じる。あとは巡り合わせにまかせよう。

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