農村医学I・回答例

試験おつかれ様でした。回答例を掲載します。もし「こんな答えははどうですか?」「その回答は違うと思う!」というようなご質問やご意見がありましたら、コメントかメールでお知らせ下さい。

南牧村診療所・座光寺

問題と回答例

(1)二回目の講義にお呼びした市川八十吾さんによれば、戦後の南佐久地域では医師を呼ぶにはお金がかかるため、「医者を( あげ・家にあげ )るのは葬式の準備と一緒」と、芸者を家に呼ぶのと同じ言い回しで表現したという。(5点)

(2)こうした状況の中で多くの患者は病院にたどり着く頃には手遅れになって、救えるはずの命を失うことが続いた若月俊一らは、病院の職員はその力を5:3:2=入院:外来:(地域での活動(公衆衛生活動、検診、保健予防活動、文化活動など))の比率で配分すべきと主張した。(5点)
※いずれかの要素が含まれていればOK。ちなみに座光寺のTEDxTalkでは5が外来、3が入院と間違っているのはお気づきになりましたでしょうか。

(3)1961年のホワイトらの研究によると、ある1000人の地域を1ヶ月間観察すると、750人が何らかの体調不良を感じるが、そのうち医療機関を受診するのは250人程度にすぎないことがわかった。図の(    )に入る言葉を答えよ。(5点)
入院

病院に入院するということは、誰にとっても非日常的な出来事で、患者の生活のごく一部を切り取ったにすぎません。人の健康を決定づける様々な社会経済的背景(SDH: Social Determinants of Health)に配慮して、初めて病気ではなく人を診ることができると思います。

(4)以上の考え方は、後にWHOとUNICEFが1978年のアルマアタ宣言で「プライマリ・ヘルス・ケア」として定義したものと共通点が多い。では、プライマリ・ケアとプライマリ・ヘルス・ケアはどのような点で異なるのか。中学生にも分かるように平易な言葉で説明せよ。(5点)

例1)プライマリ・ケアは住民に与えられるものだが、プライマリ・ヘルス・ケアは住民自身が作り出すものである。
例2)プライマリ・ケアは医療に、プライマリ・ヘルス・ケアは保健・予防活動に軸足を置く。
例3)プライマリ・ケアはプライマリ・ヘルス・ケアの一部である。

プライマリ・ケアの定義

primary careとは、患者の抱える問題の大部分に対処でき、かつ継続的なパートナーシップを築き、家族及び地域という枠組みの中で責任を持って診療する臨床医によって提供される、総合性と受診のしやすさを特徴とするヘルスケアサービスである。(米国科学アカデミーの医学部門による1996年の定義)

プライマリ・ヘルス・ケアの定義

Primary health care is essential health care based on practical, scientifically sound and socially acceptable methods and technology made universally accessible to individuals and families in the community through their full participation and at a cost that the community and country can afford to maintain at every stage of their development in the spirit of self-reliance and self-determination. (アルマ・アタ宣言 WHO 1978, Declaration: VI )

(5)現代では、住民の価値観が多様化し、個人主義やプライバシーを重視する考え方などから、集団で健康づくりをする従来のプライマリ・ヘルス・ケア活動が盛り上がりにくいとの指摘もある。こうした中で、あなたにできる、あなたがやりたいと思うプライマリ・ヘルス・ケア活動は何か。自由に発想してあなたの考えを教えて下さい。  (10点)

例1)村の診療所の玄関に自家野菜の直売所を作り、受診が無くても気軽に立ち寄れる診療所にする。普段から立ち寄っている場所なら、いざ困ったときにも相談しやすいはず。−−自己採点3点(住民ニーズ、地域資源、住民参加はある程度ありそうだが、結局のところ診療所における医療にとらわれており、住民自身が作り出す活動とはいえない)

皆さんの模範回答を期待しています!おこがましくも採点にあたっては、「自分だったら参加してみたいか」という視点と、プライマリ・ヘルス・ケアの4原則(住民のニーズに基づく方策、地域資源の有効活用、住民参加、他のセクターとの協調)にもとづいているかという点を重視して評価します。

マヒドン大学公衆衛生学部(MPH)留学メモ第4版

この情報は2011年3月から2012年5月までの留学時の情報に基づいています。最新情報の確認は各自の責任でお願いいたします。

入学まで

申込みの流れ

http://www.ph.mahidol.ac.th/Webpages_MPH/

こちらにある通りです。メールでの問い合わせの場合、gmailがはじかれることがあるので、返事がなければ他のアドレスから再送してみてください。

12月上旬 願書と必要書類を送付(推薦状2通はそれぞれ直接郵送してもらう)
1月中旬 合格通知がメールで到着
1月下旬 帯同家族のビザ申請書類が到着
2月上旬 航空券手配、ビザ申請
3月中旬 渡航

合格者の顔ぶれ−臨床経験・英語力

いわゆる入学試験はなく、書類が揃ってさえいれば、基本的には合格すると考えて良いと思います。二年間の職務経験が必須とありますが、初期臨床研修でも問題なく、同期の中には大卒でそのまま進学してきた学生もいました(特に医学部卒業後のポストが足りないミャンマーに多かったです)。厳密には入学要件を満たしていないため、学内の一部にはこれを問題視する向きもあります。

語学力については、入学後の学内共通試験(MU Test)で代用できます。同期の約1/3はMU Testで代用していました。私自身はTOEFL iBTを東京で受験して、スコアも大学に直接送付するようにしましたが、スコアの直接送付はかならずしも必要ではなく、スコアカードの写しを郵送すれば十分のようです。語学力による足切りはありません。

ビザ申請

詳細はタイ王国大使館のウェブサイトをまずは参照ください。
http://www.thaiembassy.jp/

特に注意が必要な点としては、家族を帯同する場合には大学と職場から追加書類が必要になることです。本人はNon-Immigrant ED、家族はNon-Immigrant Oビザです。

いずれもシングルエントリー(9000円、3ヶ月)で申請し、バンコクでさらに一年延長します。平日午前に東京九段下で本人申請し、翌日午後ゆうパックで発送してくれます。マルチプルは22000円とかなり割高ですし、2012年1月現在はスワンナプーム空港でも出国当日に申請可能になっているので、あえて日本で申請する必要はないと思われます。ただし、入国後の3ヶ月以内に確実にタイを出国することがわかっているのであれば、手間賃と保険料と考えて、あらかじめマルチプルで申請しても構わないと思います。なお、バンコクでマルチプルリエントリの申請費用は3800THB(9200円)です。

90日レポート、再入国許可、滞在期間延長(ビザ延長)

90日レポートは大学が代行してくれますので、時期になったらパスポートを預ければOKです。再入国許可は出国当日の空港でも取得できますが、有事に即座に出国出来る準備を整えておくという意味合いでは、やはり滞在延長手続きと同時に再入国許可を取得しておくのが安全だと思います。

滞在期間の延長手続きは、ドンムアン空港の近くにある合同庁舎で行い、本人出頭が必要です。大学がバンを出してくれるので、まとまって申請に行きます。スムーズに運んでも半日はかかる大仕事です。必要な書類は、パスポート、パスポートのコピー(前ページに署名)、写真、TM7、TM8、家族帯同の場合は戸籍記載事項証明(戸籍謄本を下に、在バンコク日本大使館に発行してもらう)などです。戸籍謄本は発行から6ヶ月以内であれば有効なので、予め取得して来泰時に持参するとよいでしょう。

海外旅行保険

保険は必須です。カード付帯だけではやはり治療救援費用がすずめの涙ですし、そもそも保険期間が長くて3ヶ月までなので、きちんとした長期の海外旅行保険に加入する必要があります。呼び方は駐在員保険や留学生保険などありますが、どれも中身は同じようです。私達が加入したのは損保ジャパンのファミリープランF20で、治療・救援費用3000万円、家族3人14ヶ月、保険料が50万円程度でした。契約にあたっては、知人の紹介で利用した金子秀人さんの事務所を通しました。途中で出産があり、中途解約や被保険者を追加して再契約など面倒な手続きをお願いしましたが、迅速に対応いただき安心感がありました。

金子秀人損害生命保険事務所
http://www.kaneko-sompo.jp/

損保ジャパンファミリープランF20
http://sompojapan.i-hoken.jp/family/price.html

バンコクでの出産

バンコクで出産する場合には、当地で新生児の健康保険に加入する必要がありますが、日本で加入する旅行保険に比べてかなり割高で、しかも出生後二週間は保証されません。言うまでもありませんが、日本で保険適用になるようなケースを含めて、バンコクでの出産費用はすべて自己負担です。新生児に何かあった場合もすべて自己負担です。

したがって、企業駐在などではなく個人でバンコクで出産する場合には、それなりの経済的リスクを背負う覚悟が必要です。また支払い能力がない場合には、母体や新生児を危険に晒す可能性があります。なお、帰国後に出産一時金や、健康保険の海外療養費を申請することは可能です。

私たちは当初はバンコクでの出産を予定していましたが、10月からのバンコク大洪水の影響で妊娠9ヶ月で一時帰国を余儀なくされ、そのまま日本で出産となりました。結果的には合併症もなくスムーズなお産でしたが、経済的にも医療的にも、やはり母国日本での出産は安心でした。

入学後の生活

住居

途上国出身の同級生は月4500-6000バーツくらいのRangnam ApartmentやVM Mansionに住んでいる人が大多数。いずれも大学から徒歩20分程度。バス通学が便利。大学周辺には月8000バーツくらいで小奇麗な物件が多数あり、単身の日本人はこのあたりが多いようです。独身であれば荷物も少ないので、当初はホテル泊で、こちらにきてからアパートを探すので十分です。

小さな子供がいたりすると場当たり的な対応はできないので、あらかじめ契約しておくと安心です。私はタクミホーム にお世話になりました。前年の9月に渡航して10カ所ほど物件を下見してイメージを掴んでおいて、1月になってからメールで空き物件を再確認し、室内の様子を写真で送ってもらって契約しました。日本人街(スクンビット39)のプール付き1LDK50平米で月20000バーツ程度からです。通学はBTSが20分程度。BTSの戦勝記念塔駅から大学までが徒歩10分程度。

お金

当座の資金は日本円の現金で持って入国するのが現実的です。市内の両替商(SuperRichなど)は銀行よりも数%レートが良いです。日本国内の資金はネットバンキングで自由に動かせるようにしておくことが絶対条件です。

こちらに来て一ヶ月程するとで授業料の支払いを求められますが、支払の方法は現金でも、振込でも、小切手でも大丈夫です。7500USDとありますが、タイバーツでの支払いでも可です。

タイの銀行口座は大学の入学許可証とビザがあれば30分ほどで開設できます。SCBを使っている人が多いですが、日本人にはKasikornのほうが対日本円のレートがいいので有利です。いずれもオンラインバンキングが便利に使え、振込も24時間対応です。家族用のキャッシュカードも発行できます。日本からの入金は諸般の事情でCitibankからUSDでKasikornに送金していましたが、USD経由なのでレート的には少しロスがあります。これも振込先口座を書面で登録しなくてはいけません。

ベストなのはロイズの海外送金サービスです。日本からしか利用登録ができないのですが、登録にはタイの銀行口座番号が必要というニワトリと卵の罠があります。渡航後に日本にいる家族に代理で手続きをしてもらうことを念頭に、事前に本人確認書類などの必要書類を日本の家族に渡しておくと首尾よくいくと思われます。(日本の銀行口座からロイズに国内振込すると、自動的に海外送金されるサービスです。手数料も安く、便利なようです。円建てでKasikornに入金するのがよいです。私はすでにこちらにきてからこのサービスを知ったので、登録の手間が面倒であきらめました。)

Citibank以外にも、新生銀行や大手の都市銀行などは、そのままタイでも現金を引き出せますが、これは両替レートも不透明ですし、それに加えて手数料が毎回150THBもかかってしまうので、利用価値はありません。タイの銀行のATM利用手数料は基本的に無料です。

携帯電話

SIMフリー端末があれば、こちらでSIMを買うだけです。日本の携帯電話も法改正後はSIMロックを外せるようになっているようですので、そういった端末であれば、日本で利用している端末をそのままバンコクでも使うことができると思われます。

私は日本ではiPhone3GSを使用していましたが、SIMロックが解除できなかったため、バンコクに来てからSIMフリーのiPhone4に買い換えました。それまで使っていたiPhone3GSはSIMロック解除ができないにもかかわらず、中古市場で10000THBで売却できました。

携帯電話の購入は、スーパーマーケット(BigC, Tesco Lotus)、非直営アップルストア(iStudio)、デパート(Central, Paragon, Emporium)のいずれでも大差ありませんが、新品を購入することを強く勧めます。私はiStudioで購入しました。

携帯電話の売却MBK(エンビーケー、マーブンクロンショッピングセンター)の携帯街が手軽でおすすめです。BTSの国立競技場駅直結で便利です。購入もできますが、中古が中心なので注意してください。

バンコクで新たに端末を購入する場合には日本語対応の観点から、iPhoneかAndroid端末を買うことになると思いますが、箱を開けた瞬間から日本語で使えるiPhoneのほうが万人向きだと思います。日本語にこだわらなければ800THB程度から安いGSM携帯が購入可能です。Androidで最安は2500THB程度から、Androidの上位機種で10000THB弱、iPhoneは20000THB程度です。中古市場で購入するのは、外国人にはリスクばかりでメリットはありません。

日本でもヤフーオークションなどで事前にSIMを購入しておけば、あらかじめ電話番号を伝えてから出国することが可能です。AIS、True、DTACが大手三社ですが、日本で例えるなら、順にNTT, au, Softbankといった感じでしょうか。AISの利用者が多く、3Gの無制限のデータプランが799THB/月です。都内で見通しが良いところなら、およそ1Mbps-5Mbps程度出ている印象で、テザリング(AndroidやiPhoneからWifiやBluetooth経由でデータ通信)も利用可能です。

マヒドンMPHの印象

◯よかったこと

  • アジア、アフリカ12カ国から多様な43人の同級生+15人のタイ人MPH学生とも共通授業あり(2012年度は今のところ1 Bangladesh, 2 India, 3 Japan, 1 Kuwait, 12 Myanmar, 7 Nepal, 7 Pakistan, 1 Somalia, 3 Sudanと伝え聞いています。)
  • 教室はわきあいあいとした雰囲気
  • 学生はMDのみならず、MBAやBSc,BNsなど多様
  • 学生は私以外の全員が途上国出身者。
  • 自国に戻ると教科書の中の出来事が目の前にある同級生からの学びが大きい。
  • キャンパスとフィールドが直結
  • ご存知のとおりタイは暮らすにはとってもいいところ。
  • 8割がたは何かしらの奨学金をもらっているようです

×悪かったこと

  • 講義、学生のクオリティーにはばらつきあり
  • 一部の出向組はやる気ないです(笑)
  • 独特のタイ訛りの英語には閉口
  • (自分も含めて)若く、臨床・実務経験が少ない学生が多い